ロボット技術を活用した橋梁点検指針(案)の公表について
橋梁の中には、近接目視点検の実施が極めて困難なものがあります。その一例として,中海を跨いで鳥取県と島根県を結ぶ江島大橋があります。江島大橋は5径間連続PC有ヒンジラーメン箱桁橋(全長1446m,海面からの高さは最高44.7m,橋梁の勾配は最大6.1%,箱桁の高さは最高15m,主橋梁部は中央径間250m)であり,橋梁点検車を使用してもアクセスできない部位が多くあります。たとえ橋梁点検車を使用して近接目視点検ができたとしても橋梁の勾配が極めてきついため橋梁の全長にわたって交通規制をする必要があり,社会的かつ経済的影響が極めて大きくなります。また,ロープアクセスや足場の設置による近接目視点検を実施すると莫大な費用がかかります。
一方,内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」(略称:SIPインフラ)等では,このような橋梁の点検に有効なロボット技術が開発され実用化されつつあります。しかし,そのロボット技術に要求される性能・精度,ロボット技術の選定方法,活用方法等が必ずしも明確化されておらず,橋梁管理者や橋梁点検技術者が橋梁の点検手法としてロボット技術を容易に選択できない状況です。
このような状況の下で,SIPインフラ地域実装支援鳥取大学チームでは,有識者,高度専門技術者,境港管理組合,鳥取県,島根県,国土交通省中国地方整備局,ならびに山陰両県の橋梁点検技術者からなる「橋梁点検への新技術の適用性評価委員会」および「江島大橋での点検方法検討委員会」を組織し,江島大橋を対象モデルとしてロボット技術を活用した橋梁点検の実証試験を実施しました。そして,この実証試験で得られた知見をもとに,「橋梁点検への新技術の適用性評価委員会」において橋梁点検にロボット技術を有効かつ安全に活用するための指針(案)を取り纏めました。
令和元年5月27日
橋梁点検への新技術の適用性評価委員会
委員長 鳥取大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻
教 授 黒田 保
(参考)
ロボット技術を活用した道路橋定期点検業務委託特記仕様書(案) (PDF:526KB)
ロボット技術を活用した道路橋定期点検業務積算基準 (PDF:160KB)
江島大橋プロジェクト実証試験報告書 (PDF:17.3MB)
〈お問い合わせ先〉
SIP インフラ地域実装支援鳥取大学チーム
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鳥取大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻
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